「……はぁ…」


私は、なんとか前を見ると、歩きだした。



次会うときは。



君が、この地を離れる時は、きっと、本物の笑顔で送り出せるように、頑張るから。



……だから、今だけは。



君への気持ちを消すためにも、泣かせて――――






「瑞希さん…っ」


「……え」




後ろで、バタン、という、ドアの閉まる大きな音と、大好きな、君の声が聞こえたと、思ったら。




振り返る前に、私は後ろからぎゅっと強く抱きしめられていた。






……な、何が起こってるの…?