「おじゃましました」


居間にいた鷹雪くんのお母さんにそう言って、


「合格、本当におめでとうございます」


と頭を下げた。



お母さんは「瑞希ちゃんのおかげよ」と何度もお礼を言ってくれたし、「お茶でも飲んでゆっくりしていって」と言ってくれたけど、私はなんとか誘いを断って、足早に家を出た。





「……っ」


瞬間。


堪えていた涙があふれ出してくる。




……どうして。


どうして、君じゃなきゃダメだったんだろう。


どうして、自分の気持ちがこんなに大きくなることを、抑えられなかったんだろう。


どうして、こんなに、辛い、恋をしなきゃいけないんだろう。




……どうして。



「どうしてこんなに、すきなのかなぁ…」




私は、こぼれ落ちてくる涙を必死で手の甲で拭おうとしたけど、後から後から溢れてくる涙は、私の頬を濡らし続けた。