「ねぇ…前の関係に戻ろうよ。いつも笑いあえた〔幼なじみ〕の関係に…!」
これが私の本心。いつも笑って、楽しくて…
今の他人扱いはイヤ…!
「幼なじみ…か」
徹は悲しそうな顔で呟いた。前、ファミレスで見たあの表情と同じ…
「徹…?」
「分かってないよ…シイ…」
「え…?」
どういうこと…?私の気持ち分かってくれないの…?
「こんなことがあってからじゃ、もう前の関係には戻れない」
「そんなことっ…」
「一度崩れたり傷ついたものは前あったものには完全に直らないんだよ」
「何で…?徹!!」
「それに…昨日名倉から告られた」
ドクン…
心臓がひっくり返るくらい大きく鳴った。
「…まだ返事してないけど返事しようと思う」
「何て…?」
「付き合おうって」
私は徹に質問したことを後悔した。
でも私は静の親友なんだから…喜ばなきゃ…!
「そっか。おめでとう」
涙を堪えながら、私は笑顔を作った。
これで良かったんだよね?徹に言ったこと…
―――――プシュー…ガタン
汽車が私達の町に着いた。おじいちゃんおばあちゃんが続々と下りていく。
すると徹は少し泣きそうな顔で
「名倉にも悪いし、あんまり関わらないでくれ」
そう言って汽車を出ていった。
「待って…」
私は徹を追いかけて汽車を出たけど、ホームには徹の姿はなかった。
1人、駅の椅子に座る。
「もう…戻れないんだなぁ」
ポロポロと出てくる涙が、手の甲に池を作っていく。
徹…
そう思いながらそのまま目を閉じた―――…