そう言い切ったとき、人の気配を感じた。


そして、そこには那音先輩がいた。




「よく言ったね、吟君。
君の言ったことは間違ってないよ。」


「・・・那音先輩・・・!?」


「あーあ。傷だらけ。大丈夫?」



那音先輩がそういいながら手を差し延べてくれた。


そして、僕に暴力を振るった先輩を睨みつけた。


それは冷酷無情。

普段の先輩からは見たことのないような氷のような視線。



「お前たち、停部ね。」


「え、そんなっ!」


「文句があるのかい?俺の大事な後輩に手を挙げて。
ただですむと思ってるの?」



そういうと、ぱたぱとその場を離れていった。




「頑張ったね、吟君。」




ぽんっ、と頭に手をおかれる。


その笑顔は、いつも僕を見守ってくれる、優しい笑顔だった。

僕は思わず涙がでそうになった。


周りには、沢山のコンクールメンバーの先輩たちや、仲間がいた。