兄も好きだ。


兄は、スポーツがとても得意だった。

勉強はそこそこだった。

けれど、兄なそんなこと気にしないで自分の道を歩んでいった。


そして、兄はいつでも僕に道を記してくれた。

楽器を続けると決めた時も、兄の言葉があったからだ。





しかし、兄はいつでも親のカンに障った。





「なんで勉強ができないの!?」


「素行が悪いんですって?」


「スポーツなんて遊びじゃないの!」


「どうしてもっと品よくできないの?」


「渡辺家の恥さらし!!」




母は、兄をそうやって罵った。