・・・自分がこの人を避難できるところに、少し笑えた。
この時の僕は自信に満たれていた。
トランペット奏者の間で「天才」と名を付けられたこと。
そして、コンテストに向けて、今までとは一変した、対コンテスト用の個人コーチついた。
確かに音の伸びはよくなったかったし、僕はすごく自分でも技術が上がっていた気がしていた。
前の演奏者が終わる。
僕は自分の番になり、ピアノ伴奏者とともにステージへとでた。
ステージから見えた光景は、暗かった。
当然だ。
自分が一番の明るいライトを浴びているのだから。
僕は客席の全体を見渡して、楽器を構えた。