しばらく自転車を走らせて、河川敷を横切ると、大きな橋についた。



「ほら、見ろよ。あれ。」



山田君は、僕に西の空を見るように促した。


僕は、この景色を一生忘れないと思った。


太陽が沈みこみ、青とオレンジのグラデーション。

疎らにある雲がグレーにそまり、だんだんと紫色に変化しているように見える。


思わずため息でるような薄暮の景色は綺麗だった。



「綺麗だろ?俺さ、渡辺にこの景色を見せたかったんだ。」


「え?」


「お前、元気なかったからさ。」



自転車を止めて、僕たちは夕日を見ながら会話をした。