その日の部活が終わると、山田君が声をかけてきた。
「今日時間あるか?」
「え?うん。」
「じゃ、一緒に帰ろうぜ!」
そう言って、いつものなんの屈託もない笑顔をした。
―――
「え?僕、自転車に乗るの?」
「そんなに驚かなくてもいいだろ!後ろに乗ればいいからさ。」
「よかった・・・。僕、自転車に乗ったことないんだ。」
「マジで!?自転車で風をきるのってすっげー気持ちいいんだぜ!」
普段はお手伝いさんが僕を迎えにくる。
そう考えると、自分はとても裕福なんだなと感じた。
今日は、新しくできた友達と一緒に帰るからと断った。