楽器が吹けたって、こうして妬まれている。 先輩からも、同級生からも、みんな、みんな―――――。 「渡辺?」 「あ、ごめんね。いこうか。」 心配そうな顔で、田中さんが僕を見つめていた。 思わず思い詰めていた僕は、話かけられて我にかえると、楽器をケースからだした。 そんなときに僕の耳には上級生の会話が入ってきた。 それは悪態。 しかし、僕のものではない―――。