確かに、僕は周りから「天才トランペット少年」と呼ばれてきた。
幼い頃から英才教育をうけてきた僕に、完璧主義の両親はトランペットを習わせたのだ。
しかし僕は、トランペットが好きだ。
明るい音色がなり響く度に、元気になれるから。
トランペットの魅力は、自分が一番知っているつもりだったけど、自分が楽器が上手いなんて、自負してはいない。
楽器が好きな人なら、どんな人でも素敵な音がでると思ったからだ。
それなのに、部活に来ると、なんの根拠もないようなくだらない悪態が、僕の周りを包むのだ。
しかし、そんな皆からの嫌われものの僕に入部当初から話かけてくる物好きがいた。
「なんだよ、お前!俺より早くくるなんて!」
「あら、早いわね〜」
「こんにちは、山田君、田中さん」
同じパートの二人は、なんでだか僕に話かけてくる。
山田明
そして
田中美鳥