物好きな友人たち
夏に近づく暑さを肌で感じながら、僕は部活に向かった。
5月。やっと、新たな中学校生活にも慣れて、部活に力を入れはじめる。
楽器をかたどるの真っ黒なハードケースを背中にしょって、僕は吹奏楽部の活動場所である音楽室のドアをあけた。
ドアを開けると、一気に僕に視線が集まる。
その視線に思わず耐え切れず、下を向いた。
”あ、来たぜ。天才トランペット少年の渡辺吟君”
”なんでそんな楽器上手い奴が部活入るんだよ”
”レギュラー争い厳しくなるじゃんか”
ドアを開けるなり聞こえてきた悪態。
入部をした時からいつもこうだ。
僕はこれらの言葉を聞くと吐き気がするほど気分が悪くなる。
”澄ました顔しやがって”
”プロにでも習いにいけばいいだろ。”
僕はため息をはいた。