「君、上手いんだね。でも、俺も負けないよ。」



僕の次の順番の、二歳上の男子中学生。


にこやかに笑い、手を差し延べてくる。

僕達は握手を交わし、

そして、僕に背を向けてあるいていった。



僕は、その彼の演奏の何がよかったのか、その当時はわからなかった。

しかし、とても楽しそうだったのが一番印象に残っている。



その当時の彼、それは――――



「思い出した?俺だよ。」



風間那音だったんだ―――――。