ごくり、と一口飲み、先輩は僕の手をとった。 先輩の手は大きかった。 そして、僕はこの感触を知っていることに気がついた。 ・・・あれは、忘れもしない。 二年前のソロ・コンテスト。 「君はまだ小学五年生だったよね。確か。」 僕は、ヘンデルの変奏曲を吹いた。 テーマと、それからバリエーションの一番と二番、三番。 そして、確かあの人はロパルツを吹いた。 ロパルツの「アンダンテとアレグロ」