チューニングルームで音だしを終えて、ついに舞台裏で待機をすることになる。
前の団体が演奏を始める。
前の団体は、昨年全国大会へと駒を進めている団体だ。
前の団体はどんな学校でも上手く聞こえる。
たとえ、それが観客から聞いて、どんなに良くない演奏だったとしても。
焦り、不安、緊張。
それによって、前の団体がいつもの倍近く上手に
聞こえた。
打楽器の人たちが少しずつ舞台側に打楽器を寄せていく。
ローファーの音を出さないように、そろりそろりとあるく。
一つ一つの動作に気を配る。
ミュートと持ち替えの楽器を抱えて、前の学校の演奏に耳を傾ける。
酷く長く感じた。