「陰口いわれても、悪口いわれても、自分の目標とか夢とかがあるだけで周りが輝いて見えるんです。
今だって・・・・。
こんなふうにコンクールの会場にはこれから演奏していく人たちが沢山います。
そんな人たちと同じ会場で演奏できるってすごいですよね。」



自然と、僕は笑っていた。


そして、ワクワクした。

チューニングルームでの音だしが終われば、僕らはもう舞台で演奏するしかないのだ。




「那音先輩」


「なんだ?」


「今日までありがとうございました。
明日からもよろしくお願いします。」


「・・・それって予選突破するってこと?」


「当然ですよ。先輩の引退はまだまだ先ですからね」


「やっぱり?実は俺、そのつもりでいたんだ。」