「…へぇ。」

拓也君はそう低い声で呟きながら、私の頬をつーっとなぞった。

「や、やめっ!」

びくっと体を反らしながら私は小さく抵抗した。

すると拓也君はすっと私のそばから離れて、廊下の角に座った。

「こっちおいで?」

「…うん。」

ドキドキしながらも私もそばに行ってストンと腰を下ろした。


「まぁ。話って言うのはその怪我に関係するんだ。」

「これ?」

そう言いながら長い髪の毛を掻きあげて包帯を見えやすくする。

「…それ。」

なんか謎の間があったんだけど。
怒らせちゃったかな?

「俺、お前が階段から落ちて寝てる時、声かけたんだけど。
覚えてる?」

「…あ。あれってまさか拓也君だったの?」

「まぁ、一応な。」

「でも、お姫様とか言ってた気がしたんだけど?」

「そうだけど。」

「え?」