入学して、一ヶ月と少したった頃。
桜はもうほとんど残っておらず、
ポカポカした陽だまりが心地いい。
でも、私の心は
そんな晴れ晴れとした気分ではなかった。
現在、給食時間の原田中学校。
どこのクラスも大体盛り上がるものだが、
一年四組はダントツでうるさかった。
私、城田ひとみは憂鬱だった。
なぜなら自分の班に、
同じ小学校出身の人がいなかったから。
ひとみは極度の人見知りで、
『無愛想』とまで言われるほど
顔の表情が動かなくなるタイプなのだ。
『『『………』』』
ひとみの緊張具合に、
周りの人たちも戸惑っている。
そこに一人の男子が話しかけてきた。
『お前さ、何で喋らないの?』
『はい……?』