けれど今、腕の中にいるのは、さっきまで一緒にいて、誕生日を祝っていた香里奈だった。
「しず、千秋って誰なの?」
「千秋は……」
千秋は恋人で、今まで腕の中に抱いていた人物。
それより何故、千秋が香里奈に変わっているんだろう。
夢でも見ているのだろうか。
これが夢なのか現実なのか、それとも予知夢の類いか、あるいは酔ってるのか……
もしかして記憶喪失?
しずくは枕元にあった携帯で確認すると、確かに2012年12月21日になったばかりだった。
昨日はみんなと10時すぎに別れて、それから千秋とあってセックスしてた。
「これって夢?現実?」
「何言ってんの?変なの」
そういって、クスクスと可笑しそうに笑ってる香里奈が、何故か恋人だという認識もあった。
記憶では、目の前の恋人は、数時間前まで友人だったはずだ。
一体、何がどうなってるのか分からずに、しずくは頭をフル回転させた。