待ちに待ったその日を、あと数時間で迎える今、しずくはここぞとばかりに話していた。


その日を迎えるのは楽しみであっても、いざ迎えてしまえば、今までのように想像力を働かせて楽しみ語るということができなくなる。


惜しむような気持ちもどこかにあって、まるで本当に奇跡か何かが起こるように、次々にしずくの誇大妄想を話した。




「21日になった瞬間に、パラレルワールドに移行したりして」




何気なく語ったそんな言葉には、しずくの願望も含まれていたのかもしれない。


もしもこの地球じゃなければ、貧困も戦争も差別もなく、見栄や建前や遠慮もなく、もっと素直に色んなことを表現できて、たくさんの人が幸せになれるかもしれない。


個人的には不満はないけれど、ちょっと見渡せば、すぐ隣に不幸や涙が溢れているような今の地球から、別の場所へ行ってみたいと、そんな夢のような想いがしずくにはあった。


みんなで集まって、例年と違った話しなんて、これくらいのものだった。


そうして、数時間前に何事もなく解散して今に至る。