「ふーっ……疲れた」




千秋の予約の前に昼食を取る為スタッフルームに戻ったしずくは、ソファに座ると同時にそう呟いた。


いくらこの世界の記憶があるとはいえ、いちいち考えて記憶を引っ張り出し、今に繋げる作業というのは、思っていた以上に疲れるものだった。


働いている間は余裕がなくて考えられなかったけれど、二時になれば千秋が目の前に現れる。


どういう対応をすれば不自然ではないのか考えておかないと、つい恋人の感覚で接してしまいそうで、しずくは不安だった。


コンビニで買ったおにぎりを食べながら、いつもの癖で携帯をチェックすると、香里奈からメールが届いていた。


突然、どうしたのだろう?香里奈はあまりメールしてこないのに。


そう思いながらメールを開くと、内容は、今日は何時に仕事が終わるのかというものだ。


千秋のことばかり頭にあったのですっかり忘れていたけれど、香里奈がこの世界の恋人だったことをここで思い出した。


予約の状況を考えると十時近くなりそうで、そうメールを返信したら、仕事が終わって電話しようと返信がきて、わかったとだけ返した。