しずくはフロアに出ると、商品と商材の管理を任されている古賀を呼んだ。




「古賀ちゃん、発注してたカラー剤って、今日全部入ってくるの?」

「え?今、仕入れ担当は奥田ちゃんですよ」

「あ、そうだっけ」

「どうしたんですか?店長」

「ごめん。ただの勘違い」




やはり少しずつ何かが違っていた。ここで少しでも円滑に過ごせるようにと、目の前の一人一人のことを考えてみた。


確かにここでの仕入れ担当は奥田だった。




「奥田ちゃん、ちょっといい?」

「はい、店長」




しずくは奥田を呼ぶと、商材の仕入れについて確認をした。


こうやって事前にここでの記憶を探っておくことが、これから上手くやっていくコツかもしれない。


今から行う朝礼の前に、予約を確認しておこうと予約表をみると、そこに《相川千秋》という名前を見つけた。



相川千秋、それはしずくの恋人の名前だった。


とは言え、こちらの世界では、恋人関係ではなく‘友人の友人’という関係なのだが。