あれってやっぱり、夢じゃなかったんだ……
そう思っているところに香里奈が近づいてきて、しずくの顔を覗き込んだ。
「しず、なんか変」
「何が?」
「しずだけど……しずじゃないでしょ?」
しずくは驚いて、香里奈を見つめた。
香里奈は確かに色んなことに敏感で、物事を見抜く鋭さを持っている。
だからと言って、中身だけがすり替わっているこの状況で、よく正確に言い当てられるものだと驚かずにはいられなかった。
しずくだけどしずくじゃない――――
これ以上に、今の状況を表す正確な表現はなかった。
香里奈には、すべて話した上で相談さえ出来る気がして、しずくは昨日からの出来事を話し始めた。
「じゃあ、0時を過ぎた瞬間にパラレルワールドに飛んでったってこと?」
やはり、この世界の香里奈も不思議なことが好きなのは変わらないようで、この不可思議な現象をすんなりと受け入れて、しずくの話しを聞いていた。