4時間前に、パラレルワールドの話しをしていたことを思い出した。
フォトンベルトの影響で、本当にパラレルワールドに移行したのだろうか。
いくらなんでも、まさかそんなことが起こるはずない。
きっと夢を見ているに違いないと、そう思うより他になかった。
急に、子供の頃に迷子になった時のような、言い知れぬ不安がしずくを襲った。
今この世界で、自分と固い絆で繋がっているのは香里奈しかいないと、ふいにそんな思いがよぎり、思わず強く抱きしめた。
「しず?」
「もう一回してもいい?」
しずくは不安を掻き消したくて、香里奈を求めた。
さっきまで抱いていたにしても、その記憶は千秋と重なっていて曖昧で。
今、ちゃんと香里奈の熱を感じたくて、そこに答えを求めたくて、首筋に唇を這わせた。
香里奈は困ったように笑って、しょうがないなーと言いながら、抱きしめてくれた。