そうして配属されて半年が経ち、課では細々と忘年会をすることになりました。


聞けば毎年の恒例だとか。


「飲み会」なんて何ヶ月ぶりだろう。


仲の良い女子たちでたまに飲みには行きますし、配属が決まったばかりに歓迎会と称して飲み会に誘われましたが、


お酒が弱くまだ緊張していた私はあまりその場を楽しむことができませんでした。


ましてや仕事の上司たちだし。女は私一人だと言う状況が益々私を憂鬱にさせましたが、


会社の「飲み会」も仕事の一環。






その日は朝から冷え込み、昼過ぎにとうとう雪が降ってきました。


さして山の方ではないこの場所は、しかし都会ともいいがたく、ただただ平地が広がるこの土地で、


しかし雪はやはり珍しいものでした。


見慣れない光景に目をまばたいておりましたが、


昼過ぎに降り出した細かい雪は、夕方を過ぎるとどんどん粒が大きく


まるで小さな綿飴のように空から舞い落ちてきました。


車の通りが多い道路にも、この気温の低下のせいかみるみるうちに白く雪化粧を施して冷気と美しい白が街の中を支配していました。


私はこの雪で「飲み会」が流れることを期待していましたが、誰も「中止」を言い出すことはありませんでした。


会社から居酒屋までの道のりを…


…昼から降り続いた雪は、歩道のあちこちに積もらせていいました。


私は滑らないように慎重に歩いておりました。


すぐ前を歩く主任のすらりと高い身長を追いかけるように。


あなたは同僚の方とおしゃべりをしながら時折私のことを心配するように振り返ってくださいました。


そのたびに揺れる、主任の黒いコートの裾。


ちょっと心配そうに眉を寄せて、それでも私が何とかついてくることを知ると安心したように頬を緩める主任。




そう



あなたはいつだって




優しかった。