話が逸れてしまい申し訳ございません。
ここであなた―――“鷺澤主任”と言う方を改めて思い出しますと、
あなたはとても良く働く、真面目な方でした。
例えば社員の内線番号一覧などを作成する仕事も総イッカのお仕事でしたが、
月に一度は辞令がくだるこの会社でその異動が激しいにも関わらず、
あなたは嫌な顔一つせずに根気良く調べてくださいましたね。
PCに関しましては私の方が打つのが早かったため、手書きで書いたメモを私に渡してくださいましたが
中には「今忙しいから内線表なんてあとにしてくれ」と文句を言われることも多々。
私なんてそれだけでどうすればいいのか分からないのに、あなたは持ち前の人のよさで
「こちらも仕事なんですよ。お互い給料貰ってる身としてちょっと俺たちのことも考えてくださいよ~?」
と、きさくに聞きだしていました。
あなたのお人柄もあったと思いますが、私には到底無理なことでした。
またサーバートラブルがあった際、私がシステム課にトラブル解消をお願いしに行くもあっさり断られたことがありました。
ほかにもトラブルを抱えていたシステム課が総イッカを後回しにしたようです。
システム課は美人の派遣社員が揃っていましたが、なんとなく冷たい印象があった彼女たちに
私は近づくこともできませんでしたが、懸命に説明するも、
綺麗なネイルを施したこれまた綺麗な手で軽くあしらわれてしまったのです。
落ち込みながらも総イッカに戻ると、サーバートラブル解消を依頼できなかった私を叱るどころか、あなたはまるで自分のことのように腹を立て、
システム課に話し合いを持ち込みにいきましたね。
その後、システム課を統括するシステム課長と派手にやりあったと言う話ですが、
それを知ったのは私が辞めると総イッカに申し出た際でした。
あなたはいつもそうです。
私の見えないところで私を庇って、本来ならアシスタントである私が主任をお支えしなければならないのに、
私を常に支えていただきました。
私はあなたの庇護のもと、まるで親鳥の巣の中のような居心地の中
社会人一年目と言う大変なときを
過ごしました。