『美雪 麻衣子様』
丁寧なお手紙ありがとうございました。
退職届、確かに受理をさせていただきました。
正直、課長から君が辞めることを聞かされたとき、とても戸惑いました。
理由が分からず、
いえ……心のどこかで分かっていたのでしょうが。
卑怯な自分がそれを認めたくなかったのです。
ですからこうして心の整理がつくまで随分時間が掛かってしまい、お返事が遅くなりましたが、そのことはどうかお許しください。
あれから半年、いかがお過ごしですか?
僕は変わらずです。
最初にお断りをしますが、僕はかしこまったやり取りが好きではないので
美雪さんとは二年も隣同士机を並べたワケだし。
いつもの調子で綴ります。
総イッカは変わらず、僕は肩書きだけが代わり、美雪さんが喜んでくれた昇進もこれと言った変化はなく
相変わらず総イッカの連中とは賑やかに過ごしています。
ただ
総イッカの男共は唯一の華であった君が居なくなってひどく気落ちしています。
僕もそのうちの一人。
と、まぁ近況報告はこれまでに。
手袋、確かに受け取らせていただきました。
君が拾ってくれていたのですね。そして大事に保管していただきありがとうございます。
今でも思い出す。
君と肩を並べて歩いたあの雪の日を―――