去年と同じ場所での居酒屋。


去年と同様のメンバー。


しかし私はあなたの右隣に座ることは適いませんでした。


週五日も隣同士だと言うのに、人間とは何と欲深いものでしょう。





想いを告げる勇気もないくせに、あなたの隣に居たい―――と。






ただそれだけを願っておりました。


その日あなたは私と目を合わせることなく、当たり障りのない会話で他の課員とお喋りをしていましたね。


どうにか私の方を見てほしくて視線を送ってみると、あなたはその視線に気付いてか


ちらりと私の方を窺っては


すぐに視線を逸らしてしまわれました。






嫌われたのだろうか。





雪よりも冷たい悲しみの感情が湧き出てきて、グラスビール一杯も空にしないうちに私は気分が苦しくなってしまいました。


元々アルコールには弱いのです。



何度かお手洗いに立って中座するも、忘年会はそう早く終わる気配を見せません。


飲みなれないアルコールに酔ったのか、それともいつも以上に無理をしていたのか。


顔色を悪くしていると、あなたが気遣って申し出てくださいました。




「美雪さん、酔ったんじゃないの?


今日は切り上げなさい。俺が送っていくよ」