『親愛なる鷺澤主任様』
あなたの右隣に座って早いものでもう二年経ちました。
新卒で入社してわたくしはもう二十四。あなたは今年で三十五におなりですね。
来年は係長に昇進されると風の噂で聞きました。
ますますのご繁栄のことと心よりお喜び申し上げます。
主任はこの会社で唯一わたくしが心を許していたお方、
尊敬してやまない主任。
まるで恩師であるようなあなたを、突然の「退職」と言う形で裏切ることをお許しくださいませ。
この結果を選ぶまで約一年の月日を悩みました。
あれこれと考えたのですが、このような形を取るのがわたくしにとって最善のことであろう、と
お世話になった主任を裏切るのは大変心苦しいのですが、
どうか
ご理解くださいませ。