「お前はバカか」 「へ…?」 蓮にいきなりそう言われたかと思うと、急に抱き寄せられた。 「俺から離れたら、濡れるだろーが」 「ご、ごめん……」 さっきよりも蓮との距離は縮まって、鼓動は速さを増す。 「れ、蓮……離してよ……」 蓮が私を抱き寄せている手を指差す。 「ダメだ。お前、どーせまた離れようとするだろ」 蓮はそう言って離してくれなかった。 私は、蓮の温もりと鼻をくすぐる蓮の香りに酔いしれていた。