涼side

 「はぁ…。」

『涼くん、好き好き好き好き好き…っ……。』



 あゆみは、言わなくて良かったのに…。
隣で眠る君を横目で見ながら俺は、タバコを吸おうとベランダに出た。
………ふぅ。

煙が闇に溶けていった。


『あゆみ、ごめん…。』

さっき、あゆみに言った言葉だ。

俺は、あゆみをあきらめるから…。


これ以上君を苦しめたくはない。

 もしも、俺があゆみを諦めなかったら君は悩んで悩んで悩んで、夜も眠れなくなるかもしれない。

 君は、優しいから。

 きっと、蓮を悲しませないように、蓮を選ぶ。自分の気持ちを押し殺して、蓮を選ぶだろう。

 だから、俺が我慢すればいい。

 なにが正解か、なんて分からないけどこの決断が一番いいと思う。

今日は、最後の思い出ってやつだ…。


……………ふぅ。

煙が闇に溶けて、空が白くなってきた。