瞬の兄ちゃんの言葉に、千夏が一瞬だけ
ほんの一瞬だけ表情を強張らせた様な気がした。
「兄ちゃん、階段で行こっか」
瞬が何故かエレベーターに乗ろうとしなかった。
「ん?? 1コ降りるだけだしな」
瞬と瞬の兄ちゃんが階段の方へ向かった。
「・・・・・・ワタシも久々に放射線科にも顔出したいな」
サヤ子さんが、青山の服の裾を引っ張って瞬たちを追いかけた。
「・・・・・・ちょっと、ワタシたちも行こう」
千夏の声が少し震えている様な気がした。
千夏が、オレの車椅子を押して階段に向かう。
階段付近にいくと
「兄ちゃん、オレ、転移したんでしょ。 肺??」