「てゆーか、なんで瞬がサヤ子センセの事知ってるんだよ」
瞬の兄ちゃんが瞬に尋ねる。
「サヤちゃん、オレが入院してすぐ外科に異動になっちゃたんだけど、1週間くらいお世話になったから」
「そうそう、ワタシが抜けて広瀬が入ったんだよね」
サヤ子さんが懐かしそうに相槌を打った。
「じゃあ、千夏とサヤ子さんは一緒に働いてたワケじゃないんだ?? なんでそんなに仲イイの??」
千夏を見上げると
「寮の部屋がお隣だったの。 看護師なりたての時、ワタシ、すごい注射がヘタクソで・・・・・サヤ子センパイが教えてくれたり練習台になってくれたりしたの」
千夏が申し訳なさそうに苦笑いした。
かと思えば
「ワタシ、サヤ子センパイの事大好きだったから、突然病院辞めた時ホントにショックだったんですよ!! なんで辞めちゃったんですか??!」
サヤ子さんに不満に似た訴えをした。
「・・・・・・周りについてけなくなったからだよ。 同期はみんな昇格してるのに」
サヤ子さんが渋い顔をしながら答える。
「・・・・・・・え?? 何言ってるんですか?? サヤ子センパイが1番出世コースにいたじゃないですか??」
「・・・・・は??」
千夏とサヤ子さん、双方が『意味がわからない』様子。
「・・・・・・看護部長、サヤ子センパイ英語喋れるしシゴトも出来るからって、サヤ子センパイをアメリカの看護コース留学に推薦しようとしてたじゃないですか。 しばらくアメリカで経験積ませて、戻ったら後任にしようって・・・・・・」
「・・・・・・そんな話、知りませんけど・・・・」
「なんで知らないんですか!!? みんな知ってましたよ!! それなのに辞めちゃうから、みんな相当驚いたんですから!!」
「・・・・・・でも、退職願出した時、止められもしなかったよ」
「看護部長、やる気のないヤツ大嫌いじゃないですか。 『辞めたいヤツは辞めればイイ』って人じゃないですか」
「・・・・・・・・・」
サヤ子さん、相当早まってしまったらしい。