「ゴメンなんだけどさぁ、ぶっちゃけオレ、トモと千夏ちゃんの話立ち聞きしてたのね。 トモ、リハビリやんないの??」
瞬はベッドの近くにあった椅子に腰をかけた。
瞬はオレの病室から出てく気はサラサラない様だ。
「『トモ』て」
「オレの事は『瞬』でいいよ」
「じゃなくて、オマエいくつだよ」
「ハタチー」
瞬が、ブイサインをした手を元気良くオレの目の前に突き出した。
つーか、やっぱ年下じゃねーか。
「おい、『さん』付けしろよ。 オレ、オマエの5個上」
「じゃあ、千夏ちゃんとタメだー」
この小生意気な女、タメだったのかよ。
「ちょっと瞬くんッッ!! レディの歳を勝手にバラさないでよ!!」
そして返しがくそつまんねぇ。 この女。
「ねぇねぇトモー、見てオレの上腕二等筋」
瞬が突然腕まくりをして、筋肉隆々の力瘤を見せた。
だから『さん』付けろや、クソガキ。
「トモも足動かないんだから、腕鍛えないとダメだよ」
『コレじゃダメだ』と言いながら瞬がオレの腕を触った。
「オマエ、何目指してんだよ」
瞬は、腕相撲でオレが両手で戦っても負けるであろう、ゴリゴリの腕をしていた。
「トモさー、そんな細い腕でどーやって女のコとエッチすんの?? オレらはさー、やっぱ女のコに乗っかってもらうのが1番やり易いワケじゃん。 でもそれって、女のコ側がカナリ体力使うワケじゃん。 だからこの自慢の腕でナイスアシストしないと」
瞬が盛る若者らしく、身振り手振りを加えながら話す。
「生々しいわ。 やめてって」
広瀬が瞬の手を押さえつけた。