「・・・・トモは何も悪くないと思う」
瞬はやっぱり分かってくれる。
きっと今のオレと分かち合ってくれるのは瞬だけだ。
でも
「千夏ちゃんも、何も悪くないよね」
瞬が、広瀬を庇う様な事を言い出した。
「・・・・・は??」
歩けない、浮気も出来ないオレを馬鹿にした広瀬が、何も悪くないってどーいう事だよ。
瞬の言ってる意味が分からない。
「トモさ、もし事故らなかったら、今も前みたいに歩けていたとしたら、千夏ちゃんと付き合った??」
「・・・・・事故ってなかったら、広瀬に会う事もなかっただろうよ」
「そうだね。 でも、何かしらのきっかけで出会ったとして、付き合ってた??」
「・・・・・・・」
確実に付き合っていない。
だって
「トモってさ、派手でオシャレなコ好きそうじゃん?? 千夏ちゃんとはトモダチにもなってなかったカモね」
瞬の言う通り。
オレは、広瀬の様なタイプとは関わった事がない。
「お互い様じゃん」
瞬が困った様に笑った。
「・・・・・・え??」
「『歩けないから好きになった』のは、トモも同じでしょ??」
・・・・・・・違う。
『好き』などという感情なんか、ない。
オレは『歩けない』から広瀬で妥協した。
広瀬は、オレが『歩けない』のをイイ事に付き合った。
・・・・・・・そうか。
『お互い様』だ。