「何もしてねぇっつーの」
加奈子の話なんか、断ち切ってやる。
「千夏、気を付けなさいよ。 智樹、女に手出すの超絶早いから。 ワタシにまで手出そうとしたんだから、コイツ」
今まで、はっきり言って百戦錬磨だった。
唯一ヤれなかったのが、加奈子。
・・・・・って、そんな話を今する必要ないだろうが。
「・・・・・加奈子・・・・・関屋さんと・・・・??」
広瀬、どん引いてるし。
「するワケないでしょ。 アンタ、ワタシをどんだけ尻軽だと思ってんのよ」
「・・・・そっか。 ごめん」
引きまくりの広瀬が、顔を引きつらせながら加奈子に笑顔を向けた。
「智樹、ワタシの親友に変な事したらタダじゃおかないからね」
加奈子がオレに釘を刺す。
『昨日ごま塩の瓶投げつけました』とか言ったら引きずり回されるだろうな。
ただ、加奈子の釘はそーゆー事ではないんだろうケド。
だったら全く心配に及ばない。
「オレにだって選ぶ権利あんだろーが。 広瀬とヤりたいとか全然思わねぇから安心しろって。 全く魅力を感じない」
言ってしまってから、『言い方悪かったな』などと思っていると
「トモ、色々サイテー」
瞬が呆れているように、怒ってるように、眉間に皺を寄せた。
広瀬は何も言わずにただ俯いていた。