「千夏ちゃん、ナースステーション戻ったら主任さんたちに褒められるだろうね」




瞬が嬉しそうに言った。




「なんで??」




「リハビリ拒み続けてたトモを、リハビリルームに連れてく事に成功したから」




瞬が歯茎を見せて『ニッ』と笑った。




・・・・・なんか、ムカつく。




「それであの女、『リハビリ リハビリ』ってしつこく言ってたわけか」




「一生懸命だったんだよ、千夏ちゃん。 急に異動になってさ、既に出来上がってる女ばっかのグループの中に入んなきゃいけなくてさ。 手柄立ててみんなに認めてもらいたいって思ったんだよ」




だからコイツはみんなのアイドルなんだ。




可愛い顔で女子を下の名前で呼ぶからだけじゃない。




瞬は、人の気持ちを察してさりげなく助けてくれる。




広瀬の事もそう。 オレの事だってそう。




きっとオレは広瀬の言葉では動かなかった。




瞬が言うから、オレはココに来る気になったんだ。





「・・・・・でも、それだけじゃないよ。 リハビリって早くやるに越した事はないからさ。 千夏ちゃん、よく空回りするけどすごく良い看護師さんだよ。 ちゃんとトモの事を考えての行動だよ」




瞬が柔らかく笑う。




コイツはどうしてこんなにイイ奴でいられるんだろう。




足を失っても尚、なんで優しくいられるんだろう。