何も出来ない、待つことしか出来ない男3人がオペ室の前に取り残された。





「・・・・・オレの言い方が瞬を追い詰めたんだ。 変な嘘吐こうとしないで『転移したけど、また頑張ろうな』って言えば良かったのに・・・・」





ポツリ、瞬の兄ちゃんが悔しそうに零す。





「・・・・・そーかなぁ。 瞬くん、そこまで頭悪いヤツに見えなかったけどなー。 安田の嘘が『優しさ』って理解出来ないようなアホじゃないと思うな」




心配で仕方ない瞬の兄ちゃんの隣で、青山は微塵も心配をしてない様子。





青山は、サヤ子さんの言葉をホントに信じているのだろう。





「・・・・・オレもそう思う。 アイツ、スゲェ優しくて人の気持ちが分かるヤツだから。 オレ、瞬に出会うまで、怪我治っても何にもやる気になれなくてリハビリもしなかったんだよ。 でも、瞬が何故か毎日見舞いに来てくれて、オレの気持ち分かってくれて・・・・・オレが立ち直れたの、瞬のおかげなんだ」





瞬の兄ちゃんのせいなんかじゃない。





オレには、瞬の気持ちが分かる気がする。





何かを失って






立ち直って







また奪われて








それでももう1度頑張れというのは



















気が狂いそうになる地獄。