涼介の私の手を握る力が
だんだん強くなっていく。

なんか…いつも笑顔でいる涼介と違う…

「りょ…涼介、手痛い…」

私の声が聞こえてないのか、無視された。

「涼介!手、痛いんだってば!!」

私の声がやっと聞こえたのか
立ち止まって、私の手を握る力が弱くなった。

「ごめん…。
俺ちょっと嫉妬しちゃってたかも…」

「え…?」

「いや、何でもないや…。行こっか」

さっきよりも弱い力で握って、
というか、手を繋いで一緒に教室へと戻った。


教室に入り、私が自分の席に座ると

「安堂さんっ!!」

「は、はいっ?!」

強い口調で私は呼ばれた。

目の前には頬を膨らませて怒ってる様子の
女子が腕を組んで立っていた。

その子は、目が大きくマンマルで、
薄紅色のプルンとした唇、
前髪がパッツンのサラサラとしたロン毛で
とても可愛らしい人だった。

「ねぇ、単刀直入に言うわ。
安堂さんって涼くんのこと好きなの?!」

涼くんって、涼介のことだよね…
え…私が涼介を好き…?

本当に単刀直入すぎて、
私は目が点になっていたと思う。

「いや、べ…別に…好きじゃないけど…」

「嘘っ!?
最近いつも涼くんと一緒にいるじゃない!
授業中も!休み時間も!」

授業中は席が隣通しだから仕方ないかと…

「授業の時は席が近いだけで
私から話しかけてるわけじゃないから…」

「じゃあ、涼くんのこと好きじゃないの?」

「…うん」

その子は嬉しそうな顔になり

「そっかぁ。好きじゃないんだね!
それならいいや。またね、安堂さん!」

その子は手を振って、
友達の所へと走って行った。

いったい、あの子誰だったんだろ…