「うん。えっと…」
「あぁ~、俺は風太。"徳永 風太"だ」
「分かった。よろしく。
風太くん」
「あのよぉ。
俺そぅいぅかたっくるしいの苦手だからさ。
その~、…名前とか呼び捨てでいいぜ」
「うん、分かった。風太」
「よしっ、いい子だ」
風太は私の頭をナデナデと撫でてきた。
「きゃっ!」
私はすかさず飛びのく。
「あっ、わりぃ。
触るのは駄目なんだな。
これからは注意する」
「うん」
風太もさっきよりは怖くなくなった。
笑うと案外無邪気で可愛いし、
他の男子とももっと話せば
恐怖症の克服だってできちゃうかも…!?
「なんでだろうな」
「え…」
「俺、女の事怖くてさ
高校に入って一度も話した事なんてないんだ。
でも、美嘉は何ていうか
怖くないし、逆に触りたくなっちまう。
…なんでだろうな…」
風太は優しい表情で笑った。
私と風太が何分間か見つめあっていると…
「美っ嘉ちゃ~ん!」
私は誰かに呼ばれたので、振り返ってみると
「…涼介」
私の方へ涼介が歩いてきた。
「もぅ~、探したんだよ~。
授業中もいなかったしさ~。
美嘉ちゃんがいなかったら、
俺つまらないのにー!」
「そぅ。てか、授業は?」
「え?もぅとっくに終わってるよ?
さっきチャイム鳴ったの聞こえなかった?」
チャイム鳴ってたんだ…。
全然気づかなかった。
「あ、そぅ」
涼介は私の後ろにいる風太を見つけ、
なぜかムッとした顔になった。
「その人だぁれ~?」
少し声のトーンが下がってたような…
「風太とは、たまたま屋上(ココ)で会っただけ」
なんか涼介、風太のことめっちゃ睨んでる…
怖いよー…。
「ふぅーん。風太って言うんだ…。
まぁ、いいや。
早く教室に戻ろ!」
「えっ…ちょっと…」
涼介は私の手をとって強引に歩き出した。
「またな!美嘉!」
涼介に強引に連れ出される私に
風太はニコッと笑い手を振った。