何で千晃は大丈夫なんだろ…
男なのに…。
やっぱり姉弟だからかな…?
千晃と話すように
学校の男子とも喋れるようになりたいな…。

と朝から考えて登校していると

「美嘉ちゃ~ん!おっはよ~♪」

後ろから声が聞こえた。

振り返ると
涼介が手を振ってこっちに走ってきていた。

「…ウザい」

と一言言ってスタスタと教室へ向かう。

「え~、挨拶くらいしてよ~。
せっかく友達になったんだからさ~」

「は?アンタと友達になんてなった覚えはない。
私の前から消えろ。」

と速足で廊下を歩く。

「ちょっ、美嘉ちゃんてば…!!」

私のあとを
同じくらいの速さで涼介がついてくる。

もう何なのよ!
ついて来ないでよ~!
怖いんだってば~!!

私は半泣きしながらもっと速く歩いた。

すると、
ガシッと腕をつかまれた。

え…!?
な…何!?

私はゆっくり後ろを向くと
涼介が息切れしながら真剣な顔でいた。

「それ以上、真っ直ぐ歩く…と
危ないよ…。」

「え…?」

私は前を見た。

!!!?

私の目の前には壁があった。

そう
私は前をよく見ないで歩いてたので
もう少しで勢いよく壁に顔面を強くぶつけるところだったのだ。

あっぶな~。
もうちょっとで私、
大変な事になってたかもしれないんだ…
…もしかして、
私に挨拶したあとに
うるさく話しかけてきたのは
壁にぶつかるって注意しようと
してくれてたのかな…?

ハァハァと息を切らし、汗をかいている涼介を見て
不思議な気持ちになった。
私の腕をプルプルさせながら
がっちりつかんでいる
涼介の手をそっと触ってみた。

とても暖かくて、大きな手だな…

「ん?」

自分の手を触られた涼介は
私を不思議そうに見る。

「あ…ありがと」

私が顔を赤くしてそう言うと

「どういたしまして!」

と笑顔で私の顔を見ながら言ってくれた。


それから
私と涼介は一緒に教室へと行った。