沈黙の中、
夕日が照らす廊下を二人で歩いて行く。

どこに行くんだろ…。

ふと、
涼介が立ち止まり
学習室の扉を開ける。

入ってみると、中はカーテンが閉めきっていて
真っ暗で何も見えない。

「これ、見せたかったんだ」

そう言って、電動で開くカーテンのスイッチを押した。

カーテンが除々に開いていって……

「わぁ~!!」

カーテンがすべて開き終わると
窓の向こうには
山と街の間に落ちていく夕日があった。

その光景がとても神秘的で、
私は見とれてしまった。

「僕、ここの景色好きなんだ。
で、美嘉ちゃんにも見てもらいたくて」

私は夕日と同じくらいに赤く染まった
涼介の顔と笑顔に思わず私も笑った。

「美嘉ちゃん…?」

私の笑った顔を見て、涼介は驚いた。

「え…?」

「ビックリした~。
美嘉ちゃんの顔見たら、笑ってるからさ。
初めて笑った顔見た」

「そ…そう」

「僕さ、昨日のこと思い出したんだ。
僕…無意識のうちに告白して、
その……キスしてたんだね」

「うん…」

「はぁ、
そんな大事なこと忘れてた僕って馬鹿だね」

「……」

「もう一度言っていい?」

「何を?」

「告白」

涼介は私を見て、
とても真剣な表情になっている。

「う…うん」

私も心の準備をした。

「僕、美嘉ちゃ…美嘉のことが好きだ。

付き合ってほしい!」

「ちゃん」付けされてないって
なんか照れるっていうか…何ていうか…

でも、私も気持ちは同じ。

「うん。
わ、私も涼介のことが好き」

こういう時って
よろしくお願いしますって言うんだっけ。

「よ、よろしくお願いします」

「……」

涼介が呆然としている。

な…なんで?
私、変なこと言った…?

「りょ…う…す…け…?」

「あ、ごめん。
美嘉ちゃんも僕のこと好きだなんて
思ってなかったからさ。
なんていうか…嬉しくて」

涼介は頭をポリポリしながら照れてる。

「フフッ、可愛い…」

「そういう風に笑う顔、もっと見てたいな」

「っ…///」

私は顔が火照ってるように熱くなっていた。

そして、二人で笑ったあとに
夕日をバックにして
キスをした。

昨日の無理矢理のようなキスじゃなくて
甘くとろけるようなキスだった。