涼介は休み時間になると
絶対話しかけてきた。

「ねぇ、何があったのか分かんないけど
僕のせいならごめん」

「……。」

「美嘉ちゃんてば…」

「…もう、話しかけないで」

これ以上、
涼介の声聞いてると
昨日のこと思い出しちゃって
泣きそうになる…。
こんなところで泣いたりしたら
私のつくってるキャラが壊れちゃう…。

私は目頭が熱くなっていて
今にも泣きそうだった。

「ごめん…」

なんで謝るの…?
その声聞いてるだけで
本当に泣きそう…。

私は席を立ち、
うつむいたままトイレへと駆け込んだ。

「グズッ」

私は一時、トイレの中で泣いた。



教室に戻ると、授業が始まっていた。

「お~、安堂。
保健室に行ってたんだってな。大丈夫か?」

「え…」

先生の言ってることの意味が分からなかった。

私、保健室に行くなんて誰にも…。

「ん?違うのか?
菊池。お前嘘ついたなー!」

「いや、本当の事ですってば~」

涼介は笑いながら先生にそう言った。

そして
私の方を見て

「お ち つ い た ?」

と口パクで言ってきた。

私はそれにコクンとうなづき、席についた。

やっぱり涼介ずるいよ。
昨日のこと忘れてて怒ってる私に
こんなに優しくしてくれたりして…。

涼介のばか…。


私は胸の奥がキュッとしめつけられるような
気持ちになっていた。