「先輩!」



背後から龍真が追ってきて、瑛は我に返った。


そうだ、後輩の相談を聞いていたはずなのに、俺は何をしているんだろう。



「すまん、坂下」


「あの、先輩。もう、直接聞きますけど」


「???」



気づけば、そこは3年の教室の前だった。


息が切れている龍真は、いつもより小さな声で話した。



「先輩、安城のことってどう思います?」


「……は?」



後輩の質問の意味がわからず、瑛は思考をめぐらせる。


答が出る前に、龍真がさらにたたみかけてきた。



「ちょっと考えてみてください。

さっき、どうしてあんなことをしたんですか。

先輩、ムカついたんでしょ、安城をバカにされたみたいで」


「ああ……どうしてだろうな」