気持ち聞いてきてって。
それは十分、余計なことだと思う。
下手な聞き方をしたら、まりあが瑛を好きなことが本人にばれてしまうじゃないか。
いや。
龍真は思いなおした。
瑛が、他人の気持ちに気づくわけはないか、と。
『気になってるって、どうしてそう思うんだ?』
『たまに……目があうから』
『は?』
『視線を感じて顔を上げるときって、あるでしょ?
まりあが隣にいるときに限ってそうすると、いつも先輩と目があうから』
それは生徒会室の活動中、という意味だろう。
何人も後輩がいる中で、瑛が特定の人間を見ていたことなど、龍真は気づいたことがない。
大したものだな、と龍真は改めて、自分の彼女の敏感さに驚く。
神無は人の気持ちがよくわかる、優しい子だ。
……好きでしかたがない、龍真の気持ち以外は、だが。