「──お前がどれだけ卑猥な想像をしているのか、考えたくもないが──」



瑛の前置きに、まりあははっとする。


いつも冷静な相手の、地雷を踏んでしまったのだ。


目を閉じ、次の言葉をじっと待った。





「俺はただ、鬼頭のまつげを、とってやっただけだ」




「…………え?」





思わず目を開ける。


瑛はこちらを見つめ、自分の右眼を指差していた。



「まつげが抜けて、生え際にくっついてた。

鬼頭が痛い痛いと泣くから、とってやった」


「は、でも、キス……」


「ちょうど爪が伸びていて、眼球に傷がついたらいけないと思ったから。

舌なら、大丈夫と聞いて」


「ええええええええっ!?」