「……た、は?」


「はい?」


「坂下は、一緒じゃないのか?」



その一言で、まりあはさっと顔色を変えた。



「良かったな、嫁のもらい手がいて」



瑛は精一杯冗談っぽく言ったつもりだった。


しかしまりあは、みるみる顔を歪ませ……


泣きそうな顔になってしまった。



(あれ、)



瑛が自分の困惑に気づく前に、まりあが口を開く。



「違います、あたしと龍真くんはそんなんじゃないんです。

ただの噂です」



あんな場面を、公衆の面前でさらしてしまった自分が悪い。


しかしまりあは、瑛の耳にまでその噂が入っていることがショックでならなかった。



(しかも、嫁のもらい手って、なにそれ)