まりあは新幹線の中で、瑛のくれた指輪を見つめる。


いったいいつ、用意していたんだろう。


自分が眠ってしまってから、そっとつけておくなんて。


誰のアドバイスなのか、聞くのを忘れた。


帰ったら、神無たちが迎えにきてくれてるはずだから。


これは話してネタにしよう。


きっと、清良や瑠美は『かっこよすぎ!!』とおなかを抱えて笑うだろう。


その光景を想像すると、自然に笑みがこぼれる。



──瑛さん、あたしは大丈夫です。


だって、あたしを大事にしてくれる人たちが、いつも近くにいるもの。


あなたが残した痕だけは、あたしの秘密にしておくね。


それがあたしの、独占欲の証。



まりあはそっと、指輪に口付けた。



大丈夫。


あたしはあなたが、ちゃんと、本当に、好きだから。