「一緒に行ってやらなくてよかったのか?」



龍真は神無に聞く。


まだつぼみのままの、桜の木の下で。



「うん。でも、夜つくって言ってたから、迎えにいくの」


「ほんとお前は、安城ラブだな」


「うん、まりあ激ラブだよっ」



一人で泣かせておくなんて、できないもん。


神無は空を見上げた。



「遠恋か……しんどいだろうな」


「うん……」



自分だったら、耐えられるだろうか。


龍真がもし、自分から離れていってしまったら。


それを考えると、いつも怖かった。



「神無」



神無の不安を見透かしたように、龍真がその小さな手をにぎる。



「俺は、ずっと近くにいるからな」