「いつから、止まってるんだ?」

「いえ、それはちょっと……スミマセン」

「そうか」


まぁ、当然か……。
一応、こいつらにも聞くか。

と、俺は目の前に座っているJとKを見た。


「あんたらは、どうだ?」

「はい?」

「は?」




‘どうだ’と言われても……。


「すみません。私も分かりません」

「そうか、そうだよな。J君はどうだ?」

「……………」


ん?反応無し?


「J?どうしたんですか?」

「……銀行強盗」

『え?』

「……………」


視てるのか?




「人数は、中に6人、車に4人、アジトに10人」

「お、おい!何だそりゃ?」

「ねぇ、デタラメ言わないで!」


動揺するのは当然。
だが……

デタラメ?
な訳ねーぇだろ。


「二人とも、黙ってて下さい」


俺は、努めて冷静を装い、世多さんと夏目さんを、黙らせた。




「J、視えるのですか?」


問われた俺は、一瞬だけKに意識をずらし、頷いた。


「……合計20人のグループですか。こんな時間から、大胆ですね」

「夜より昼間の方が、一般人や警察の警戒体制が、緩くてやり易いんだ。人質も、かなり多い」


そう言いながら、人質の人数を数えていく。




「お、おい。“視える”って何だ!?」

「世多警部!説明は後でしてもらいましょう。もし、J君の言った事が本当なら、本庁に連絡しないと!!」

「あ、あぁ。そうだな!夏目、捜査一課に連絡入れてくれ!!」

「はい!」


オバサンが電話をしている間、Kが人質の数を聞いてきた。

だから、俺はそれに答えた。




「男性42人、女性56人、子ども12人。……計110人」

「それは、銀行員も合わせてか?」


警部のオッサンに聞かれ、俺は黙って頷いた。

その時、遠くから警視庁と書かれたパトカーが、走って来るのが見えた。




……目眩がする。


「あぁ、来ましたね」

「……………」


Kの声がどこか遠くに聴こえる。


「J?」

「……K、………っ!」

「J!?ちょっ!またですか!?」


嗚呼、ダメだ。
意識が保てない。

Kの声を聴くともなしに聴きながら、視界が反転し、ぼやけていくのを、ただじっと見つめていた。




な、何だ!?

俺は、いきなり気を失ったJに夏目とKと共に、困惑していた。

Kは“また”と言っていた。
という事は、最近も同じ事が合ったという事だろう。

……って事は、Kに任せていれば、良いんじゃないか?




J君が倒れちゃった!

ど、どうしよ!!

救急車呼んだ方が良いのかな……!?


Kさんは、どうするんだろう……!?