すると、いきなり騒音になりつつあった騒ぎ声が
一斉に止んで中心で何やら仕切ってる慶詩がマイク
みたいにバナナを持って司会進行をしていた。
「な、何事っ!?」
ユウヤが消えたんだけども!
キョロキョロ室内に居るはずのユウヤを探して見るも
見当たらず、今日はやたらと人が集まってる。
「野郎ども、静粛にしやがれ。」
慶詩の周りに集う不良メンバーズがキラキラ
と目を輝かしている。
「さっきから気になってたんだけども、彼は
何をしているのですかね?」
「見てれば分かるよ。」
馨君がクスリと笑みを零した。
その途端、ドバンっと荒々しくも扉の開く音が
聞こえたかと思うと木が1人でに動いてこっちにやってきた。
「ひっ!!」
き、木のお化けが居る!!
妖精さんがみんなでえんしょって動かしてるんだわ。
お、お化けなど科学的な物証ではないもの。
き、きっと、・・・あれはポルターガイスト現象!?
「至急、教授に連絡をせねば!!」
「日和ちゃん、落ち着いて。」
「出ました、妄想するひよこのお嬢ちゃんは今日も
さすがと言ってもいいぐらいだな~」
慌てるあたしにちぃ君の声が届いた。
「よく見てみろ。」
「えっ!?」
身の丈よりも大きいそれを操る・・・動かしていたのは
どこぞに消えていたのよと思っていたユウヤだった。
「な、何で木!?」
「クリスマスと言えば木だろ。」
その定義はどうかと思うのですが、ちぃ君が口元を
緩めて笑うからそうなのかなと信じてしまいそうです。
「あれ、もみの木?」
それにしてもこの室内に運んできたユウヤの力量
ナメてました!!
実に、やれば出来る男だったのね。
ごめんよ、ずっと誤解をしてました。
今、この瞬間からユウヤへの見方を変えるべきだったよ。
まさかのクリスマスツリー登場の場面に出くわして
しまうとは本当に何でもありなんだな。
じゃなくて、不良の癖にみんなクリスマスのイベント
楽しみすぎじゃない!?